下界で考えたこと 2016.08/27

08/27/2016

 迷走台風10号は、どうなっているんでしょう。というより、今年の8月の天候にはお手上げです。というわけで今日から予定していた「唐松岳から鹿島槍ヶ岳」はあえなく中止です。車検のため出かけたついでに、万年筆のインクを買いに御茶ノ水の丸善に寄り道した。さらにそのついでに本も数冊購入した。そのうちの1冊がこの文庫本です。
 皆さんも忘れられない出来事でしょう。あのアミューズツアーのトムラウシ山での大量遭難事故からもう7年も経つのですね。この本は、事故から約1年後に単行本として出版されています。その2年後の2012年に文庫本化されていました。今回改めて買って読んでみました。
 生存された方へのインタビューなどを基にかなり当時の状況が詳しく解明されていると思われる内容でした。夏山での「低体温症」の恐ろしさが様々な角度から明らかにされ当ています。今一度、認識を新たにしたところです。

 この事故で3名のガイドの内、リーダー兼添乗員の61歳のガイドの方は亡くなっています。この方が唯一ガイド協会のガイド資格(登山ガイド)を持っていて、メインガイドで北海道から参加した30歳代のガイドも、名古屋から参加したこちらも30歳代のサブガイドもガイド協会のガイド資格は持っていなかった。
 この本を読む限りでは、この三人のガイドが参加者の体力や状態を考慮した判断をした形跡が見当たらない。ヒサゴ沼の避難小屋から稜線に出て間もなく、早くも行動に支障が出ている参加者が2名も出ていたという。最低でもこの時点で、ヒサゴ沼の避難小屋に引き返す判断があればこの惨事は防げたでしょう。小屋にはもう一人のがいどがいたのですから。そのような状況にはっきりしたリスク判断もしないままズルズルと行動を続けていったことはとても信じがたいことです。はっきり言って怒りすら感じます。この本の中で生存した30歳代のガイドのインタビューが載っています。それを読めば更に彼らの無責任ぶりに呆れるばかりです。

 と同時に、ツアーの主催者のアミューズ(今は解散しましたが)の責任も見過ごすことはできません。その日、ヒサゴ沼の避難小屋には同じアミューズのツアーの一行が入ることになっていたそうです。その準備のためにガイドが一人小屋に残っていたというわけです。ですから、そのために彼ら一行は小屋を空けなければならない、停滞するという判断を検討した形跡がなかったことが、同じガイド業を生業とするものとしては納得がいきません。最初から選択肢の中になかったという疑いは捨てることができません。その辺りのことは、ガイド協会の事故調査報告書の中にも、この本の中にもほとんど解明されていません。

 確かに、第一義的には現地のガイドの判断が問われるわけですが、その判断に一定の方向性を限定させたツアー会社の日頃の姿勢やプレッシャーも明らかにしていくべきと思うのですが。
 台風10号のニュースを聞きながら、あれこれ考えさせられる本でした。

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